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2013.09.12

夏休み〜UTMB

ご無沙汰しておりますm(_ _)m

8月の終わりから9月の初めまで夏休みを頂き
昨年同様、モンブランに行っていました。

その時のレース模様を恐ろしく長ったらしく書き綴っております。
お暇な時にでもお読み頂けたら幸いです(^^)/

ではどうぞ!





昨年に引き続き、戻ってきました!シャモニー。
昨年とは打って変わり、滞在中ずっと天気が良かったことはラッキーだったですが…

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珍しく雲ひとつないモンブラン

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さてレース開始です。

 ULTRA-TRAIL DU MONT-BLANC. (ウルトラトレイル デュ モンブラン)
通称UTMB。世界一美しく、過酷、といわれるトレイルランニング界最高峰のレース。過酷なだけのレースなら他にもごろごろあるが、美しさを備えたものとなるとそうはない。

 走行距離168.7km/累計標高差9796m。制限時間46時間。
フランス Chamonixをスタートとし、イタリア、スイスにまたがるアルプスを周遊しながら、累計標高、世界最高峰のエベレストを越える9796mの道のりを経てChamonixに戻って来る。常識の範疇を越えて意味がわからん数字が乱列。もう笑わざるを得ないよ。

 ちなみにこの大会、誰でもがエントリーできるわけではなく、国内外の規定のトレイルレースを完走して7ポイント集めた人だけが出場できるという仕組み。そんな経験者たちが集うレースにも関わらず、例年完走率が5割に満たないというから驚き。

 一応、自分は昨年この大会のミドルレースであるCCC(走行距離86km/累計標高差4597m)に出場し、悪天候の中、耐えに耐えて完走はしているのだけれど、その倍の距離となると全く想像がつかない。にもかかわらず、やれるはずだという何の根拠もない自信だけはあったのだw

 また去年みたいな悪天候を覚悟していたのだけれど、なんと絶好の天候に恵まれ、4年ぶりに本コースでの開催となった。もう言い訳はできない。意地でも完走して「コース変更のない本コースを走りきったぜ!」という勲章を手にしたいという思いが強くなった。

 日本を旅立つ前の壮行会で全くトレランに興味のない友人達が、なぜかオフィシャルTシャツがお土産で欲しいという。Chamonixに到着した翌朝、レギュレーションチェックを足早に済ませ、オフィシャルグッズの売っているエキスポ会場に向かう。

 もう各メーカーの新作や日本未発売のギアが目白押しで楽しくて仕方ない(^o^)/ Tシャツが欲しいという友人の12枚購入。おいおいスーツケースに入るのか??しかしこのTシャツがレース中とっても重要な役割を果たしてくれることとなった。

 このTシャツの価値、リタイヤしたヤツからのお土産なのか、完走したヤツからのお土産なのかは雲泥の差でだぞともの凄いプレッシャーがかかった。

 初日は Chamonix 到着夜21時だったため軽く散歩をして就寝。(全く眠れなかったけど…orz)2日目はレギュレーションチェック(規定の携行品チェック)とショッピングなどして過ごす。


レギュレーションチェックをクリアすると
締まるけど緩まない仕掛けになっているリボンがつけられる。

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ホッと一息。至福の時、昼間っからビール。

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去年もきた、現地の人おすすめのイタリアン。
ちなみにここシャモニーはフランスなのでフレンチを食せばよかった…

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 3日目レース当日、16時30分スタートなのでゆっくり荷造りをし、湯船に浸かり筋肉をほぐしてのんびりとその時を迎えた。しかし残念なことに一昨日に引き続き、昨晩も3時間ほどしか寝れなかった。
あ”=!!これから2晩寝れないのに……orz どうする。。

睡眠以外はすべてを終えた。

 スタート前に77km地点 Courmayeur で受け取るドロップバッグを預ける。スタート地点に30分くらい前に並び、この旅、ずっと一緒に行動してきた、知人と健闘を称え合い、固い握手を交わす。

 16時30分スタート!ボルテージは最高潮に達し「うおお==!!いけ=!」雄叫びを上げながら滑り出す!本当にこのステージに立っているんだという感無量の思いと、やってしまったという恐怖心とが相まみれて、無感情のまま走り続けていた。リアリティを取り戻したのは、13km進んだ第一チェックポイントの LE DELEVRET あたり。

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 本コースの後半部分は昨年のCCCで走っているので、未知である前半部分が楽しみではあったが、前半の関門がとてもシビアなので楽しんでばかりもいられない。後半の関門時間とまるで違う。早々に遅い者や実力のない者は落としてしまえということなのか?わざわざここまで来て関門で首切りになったなんてダサいことだけは絶対に避けたい。かといってオーバーペースになって後半失速するのも怖いと思いつつ飛ばさざるを得ない。

 しかし足が心配だ。慢性の腸脛靱帯炎と膝蓋靱帯炎が再発しないよう労りながら走っていたつもりだったが、関係のない左の薬指の爪が痛みだす。その後、両親指の爪も。やはりモンブランのアップダウンの長さは半端ない。誰もが口にする「山がでかすぎる」んだよ。。まるで富士登山を何度もやっている感じ。けど富士山は1つしかないからいいけど、コイツらときたら次から次へと現れる。

ほんとうんざり。

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 おかげで爪が早々に終わって、耐えがたい痛みなので、どこかで靴を脱いで対処しいのだが、本当に爪がダメになってるの間の当たりにしたら、それこそ意気消沈しかねないので、誤魔化しながら前へ進む。

 一晩を超え、スタートから17時間23分、中間地点であるCourmayeurに辿り着き、ようやく半分弱が終了。ドロップバッグを受け取ったのが午前10時。
(※ドロップバッグとは、大会側から貰えるビニール袋に、食糧や着替え、予備電池、ファーストエイドなど自分が必要と思う物なんでも入れていい。スタート前に預け、ここ中間地点であるCourmayeurに運んでもらう)

 しかし用意していた数々のものが一切必要なかったという新事実…(-_-) あれだけ練りに練って用意したドロップバッグなのに… 他の選手は片手で軽々運んでるのに自分は両手でかかえないと持てないほど詰め込んだドロップバッグなのに… 必要なかった…orz 逆に背負っていた不要な物をドロップバッグに移したほど。天候にもよるけど、基本UTMBをドロップバッグなしで行けることにちょっと驚いた。

 さてここからが昨年経験したCCCのコース。少しずつ昨年の地獄の記憶が蘇ってきた。ここからスタートした去年と較べ、今は78km一睡もせず走ってきた身体で挑むことになる。ハセツネ(71.5km)やSTY(82km)が終わる距離だよ。自己最長が昨年のCCC(86km)なので、未知の領域に突入することになる。行けるか、オレ?(^_^;)

 2日目も天気は崩れず快晴。高所なので気温は高くないが紫外線が強く、じわじわと体力奪っていく。氷河から吹き下ろす風は冷たくて心地良く、頻繁に現れるアルプスの沢の水にキャップを浸して頭と首を冷やす。

 話は少し戻り、Courmayeur直前のARETE DU MONT-FAVRE から高低差1200mを9kmにわたる激下りで爪が限界になっていたのに、Courmayeurではドロップバッグのことで頭がいっぱいになってしまい爪の対処せず出発してしまった。当然すぐに痛みが顔を出し、もう走れなくなってしまった。やっと辿り着いた、後半一つ目のエイド REFUGE BERTONEで恐る恐る靴を脱いでみる。血は出ていないが、予想通り、爪は剥がれかけていた。持参していたバンドエイドで押さえつけ、もう一枚のバンドエイドで爪先にクッションを持たせてみる。2割程度痛みが和らいだ。あとはロキソニン投入。これが効き2~3時間は痛みを忘れさせてくれた。

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 それと同時に今度は胃痛が始まり、胃薬も投入。持参していた何種類かの胃薬を試したが、太田胃散が一番効く。ちなみにツリ防止にいいといわれる芍薬甘草湯の一種である甘草が配合されているのでツリ防止にも効果あったのかな?w

 けれど胃痛は二時間と持たない。きりきりと精神的な痛みに似ている。相当負担がかかっているのだと思う、頭痛も始まり、船酔いのような吐き気をもよおしてきた。しかし胃の中は空っぽでなにもでない。ということはエネルギーも枯渇し始めているので、ハンガーノック(車でいえばガス欠)の危険性があると焦りだす。

 エイド Arnuva では液体しか受け付けず、UTMB上最高地点(2527m)の Grand col ferret を向かえる。ここを越えるとスイスに入る。もう最高潮に胃が痛い。。バナナが食べたくなったが、バナナがエイドにある知らない。スイス最初のエイド La fouly でバナナを見つける。この時だけは本当にバナナがありがたいと思った。いままで果物を食べようと思ったことなかったのでバナナの存在を知らなかったんです(^_^;)。

 Arnuva から3時間、ハンガーノック寸前で辿り着いたChampex-Lacのエイド(22:33)。昨年はここでおにぎり食べてるとこインタビューされてDVDにバッチリ映ってた!まずは胃が痛すぎるなのでベンチに横になってみる。5分くらい休んだだろうか。全く改善されないので、なにか食べなきゃと思い、ペンネミートソースをもらい何十回と良く噛んで飲み込む。ミートソースの挽肉は食べないようにした。

 どうしようとだらだらしているとだんだん汗冷えしてきて寒気がしてきた。結局一時間近く休んでいた。このままでは低体温症になりかねないと、胃痛を改善できぬまま出発することにした。

 深夜23時28分のChampex-Lac. シャンペ湖。湖辺からの冷気が背筋を凍えさせる。またひとりぼっちの孤独な旅が始まる。山の中より寝静まった湖畔のホテル街やオレンジ色の街灯がさらに孤独感を増す。そして頭痛と胃痛に加え、睡魔という最大の敵が二晩目さらに巨大になって現れた。もう正常な状態でいることが不可能。身体が25度傾いたあたりで目が覚める。滑落寸前だ。冷や汗どころの話ではない。けれどまた同じことの繰り返し。本当に危険なので登り坂の斜面やほんの少しの空きを探して横になろうと試みるも夜露で草が濡れていて凍える。ここ一年半、カフェインを絶っているにも関わらず、眠気覚ましのモカ系の効きが悪いのでほとほと困った。

 最後の戦いが始まる。2000m越の山が3つ。130km走ってきたぼろぼろの身体で、昨年本当に死ぬかと思った bovineとcatogne が待ちかまえている。それをクリアしても最後に立ちはだかるわ昨年、悪天候のため危険すぎるとキャンセルになった La tete aux vents という恐ろしくでかい山が待っている。もうどうにでもなれと。ここまで来たんだ、リタイヤはない、心折れて失速、タイムオーバーだけ。まずは一つ目 bovine。到着したのは夜中の二時。やはり今年もここはGORE-TEX pro shellが必要だった。昨年体感温度−10℃だったが、今年は0℃くらいだったんじゃないだろうか。澄み切った夜空に浮かぶ星と漆黒の暗闇が、宇宙の空間に投げ出されたような錯覚になり痛みや苦しみ、そして寒さが一瞬、感じられない体験をした。

 淡々と進み、bovineとcatogne の谷間のエイドTrient に到着したのは3時37分。教会が印象に残る場所。ここは毎年ストーブが焚かれ、熱気でムンムンしているエイドの1つ。胃の調子は相変わらず。持参したドライフーズのおかゆを流し込み、トイレに行き、ペツルで電池交換をして貰い、20分程度で出発。

 ラスト二つ目の山 catogne 挑む。あれ?なんだか調子良い。サクサクと登りで追い越していく。(といってもここら辺にいる選手は自分を含め遅い人達なので抜けることに不思議はない)けれどじつはスタートからここまで順位を981位上げていた。

 昨年記憶が定かでない catogne を攻略し、最後のエイドVallorcine に到着した頃にはすっかり夜が明けていた。昨年はここからのラストの山 La tete aux vents がキャンセルになってホッとしたのを覚えてる。もしその山がキャンセルにならなかったら完走できなかったかも知れないとまで思ったほどだった。

 けれど今年はその山がしっかりと待っている。本当にこれが最後の戦い。よくここまでこれたものだ。

La tete aux vents. 見るからに恐ろしい岩山。

 登りに差し掛かる頃には日差しはジリジリと照りつけ、一気にペースダウン。さっきまでの元気はどこへやら、ガンガン抜かれた。。距離7.7km/標高853mの登りに2時間半を要してしまった。

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 しかし登り切ったらこっちのもの、さっきの借りを返すぜとばかりにまた抜き返す。爪は三本死んでしまった。股関節は脱臼したかのようにギクシャクいってる。大腿四頭筋はまだ残っているか?最後の激下り8km走!もう止まらない。走り続けた。118人抜いた。ラストの3つの山に12時間半もかかった。

そしてついにシャモニーに戻って来ることができた。
まさか戻って来ることができるとは……

沿道には大勢の人々が拍手喝采「ブラボー!ブラボー!」と讃えてくれる。

 皆が手を差し出してハイタッチ。何十人の手に触れただろう、DVDで見たことのあるトップランナーが左右に蛇行しながらハイタッチをしていることと同じことを自分がしている。あまりの歓声に照れくさくなってくるほど讃えてくれる!この瞬間を味わいたいがためにまたはしるのだろうか… そんな歓声に飲み込まれながらとても贅沢なゴールが体験できた。

 絶対に帰ってくるって気持ちと本当は完走できないんじゃないかという気持ちの狭間で自分という人間の弱さと強さを垣間見ることができたとても貴重な体験。

43時間22分53秒 走行距離168.7km 累計標高差9796m 総合順位1186位
スタートから13km地点の第一チェックポイントで2285位だったので1100人抜いた。

 ゴール後、ハイネケン片手に雑誌「RUN+TRAIL」の方にインタビューして頂き、「また来ますか?」との問いかけに「もう二度としない」っていってしまった(笑)

 昨年は5回死ぬと思ったけど、今回は死ぬじゃなくて、生き地獄のようなじわじわと痛めつけられる拷問的な感じを味合わせられた。ひと思いに死なせてくれない永遠に続く登り。遠く見上げると星なのかライトなのか区別がつかないほど天空に登らされるアホみたいな山々。それと同じ分だけ下らされて足をぼろぼろにさせるドMなコース。1000m上がって1000m下るなんて日本じゃ考えられない。

 けれどすべて終わった。もうやらなくていい。本当にその感情だけが残った。日が経つ毎に実感が薄れていく。脳が拒否しているみたいに。あの痛みを忘れたいのだろうか。

 ポジティブな話をすると、今回の収穫は爪以外に怪我・故障がなかったこと。足はふくらはぎが張っている程度。尻と背筋が筋肉痛になったのはブラボー!最高!w

 さて次はハセツネだ。ハセツネは他のレースとはオーラが違うとても重要なレース。正直苦手なんだけど、好きなレース。

って、こうして書いている今でも信じられない… 本当に完走したのか…

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